HDR10とHDR400の区別とは?自分に合ったHDRを選ぼう
近年、映像体験のクオリティを左右する技術として注目を集めているのが「HDR(ハイダイナミックレンジ)」です。テレビやモニター、動画配信サービスでも「HDR対応」の表記が増え、従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)と比べて、よりリアルで鮮やかな映像を楽しめるようになりました。しかし一口にHDRといっても、「HDR10」や「HDR400」など、複数の規格が存在し、それぞれに違いがあります。中でも混同されやすいのがこの2つです。そこで本記事では、HDR10とHDR400の違いをわかりやすく解説しながら、あなたに最適なHDR規格の選び方を丁寧にご紹介していきます。
HDRとは?SDRとの違い
HDR(High Dynamic Range)は、日本語で「ハイダイナミックレンジ」と呼ばれ、映像の明暗差や色の豊かさをよりリアルに表現するための技術です。従来のSDR(Standard Dynamic Range)では、明るい部分が白飛びしたり、暗い部分が潰れてしまったりすることがありました。しかしHDRでは、明るいところはより輝かしく、暗いところは深みのある黒で表現され、より自然で臨場感のある映像が実現できます。
特に映画やゲーム、4Kコンテンツなどではその効果が顕著で、SDRに比べて格段に没入感が増します。
ただし、HDRといってもその中にはいくつかの規格が存在し、代表的なものに「HDR10」や「HDR400」があります。これらの違いを理解することで、用途に合った最適なディスプレイ選びが可能になります。

HDR10とは?
数あるHDR規格の中でも、最も広く普及しているのが「HDR10」です。多くのテレビやモニター、ゲーム機、映像コンテンツで標準的に採用されており、基本を押さえるうえでも重要な規格です。以下では、HDR10の特徴や使用される主な用途について詳しく見ていきましょう。

HDR10の特徴
HDR10は、静的メタデータ方式を採用しており、映像全体に対して一定の輝度情報を適用します。最大輝度は1000nit(ニト)まで対応しており、ビット深度は10bit。これは約10億7000万色もの色を表現できることを意味し、SDRの8bit(約1670万色)と比べて圧倒的に豊かな色彩表現が可能です。
また、色域は「Rec.2020」に対応しており、より広い範囲の色を再現できます。これにより、特に映画やドラマ、ゲームなどの高精細な映像コンテンツで、リアルで迫力ある映像体験を提供します。現在の多くの4KテレビやBlu-ray、Netflixなどの配信サービスでも採用されており、HDRを楽しむうえで最もスタンダードな選択肢といえるでしょう。

HDR400とは?
HDR400という言葉を目にしたとき、多くの方が「HDR10と同じような規格なのでは?」と混同しがちです。
しかし実際には、HDR10が映像信号の規格であるのに対し、HDR400はディスプレイの表示性能を示す認証基準です。つまり、HDR400は「モニター側がどこまでHDR映像を表現できるか」の性能目安として用いられる言葉であり、その本質的な意味はまったく異なります。
HDR400は、VESA(Video Electronics Standards Association)による「DisplayHDR規格」の中で、最も基本的なランクに位置付けられるものです。次のH3セクションで詳しくその特徴と、上位規格との違いについて見ていきましょう。

HDR400の特徴
HDR400とは、「DisplayHDR 400」の略称で、VESAが定めるディスプレイ性能基準のうち、もっともエントリークラスにあたる等級です。
この「400」という数値は、ディスプレイのピーク輝度が400nitに達していることを示しており、それに加えて10bit相当の色処理能力、一定の色域カバー率(sRGBの95%以上)などが求められます。
ただし、HDR400自体はHDR10信号を処理できるかどうかを直接保証するものではなく、あくまで「このモニターはある程度HDRらしい映像を出せますよ」という表示性能の基準です。
そのため、HDR10に完全準拠した映像を表示できるとは限らず、映画やプロ向け編集用途には不十分とされるケースもあります。主に価格を抑えつつHDR入門を体験したいPCユーザーや、一般的な作業を行うライトユーザーに向いている規格です。

Display HDRとは?モニターの性能を示す規格
DisplayHDRとは、PCモニターやノートPCの液晶ディスプレイがHDR映像をどの程度正確に再現できるかを評価するための国際的な認証規格です。
策定元はVESAで、DisplayHDR 400/600/1000など、数字によって性能ランクが分けられています。数値が大きくなるほど、輝度・コントラスト・色再現性などが高く、映像制作用途やゲーミング用途にも対応できるようになります。
HDR映像を正しく表示できるかどうかは、モニター側の性能に大きく依存するため、このDisplayHDR認証はHDR対応モニター選びの際に非常に参考になります。
HDR10とHDR400の違いとは?
HDR10とHDR400は、どちらもHDRという言葉を含んでいるため混同されがちですが、根本的な意味合いが異なります。以下の表で、両者の違いをわかりやすく整理してみましょう。
項目 | HDR10 | HDR400 |
種類 | 映像信号(コンテンツ側)の規格 | ディスプレイ性能の等級(DisplayHDR認証) |
規格の役割 | HDRコンテンツを作成・再生するための基準 | モニターがHDR映像をどの程度表示できるかの目安 |
最大輝度 | 最大1000nit以上が一般的 | 最低400nitのピーク輝度 |
色深度 | 10bit | 実際は8bit+FRCなどの“10bit相当”が多い |
メタデータ方式 | 静的メタデータ | 特定のメタデータ方式は規定されていない |
用途 | 映画・ゲーム・配信などHDRコンテンツの再生 | PCモニター・ゲーミング用モニターなどの製品分類 |
HDR10はコンテンツ制作・再生側で定義される「信号規格」、HDR400はディスプレイ側の「性能基準」として分類されます。両者を正しく理解することで、自分の目的に合ったHDR環境を構築しやすくなります。

HDR10とHDR400が向いているユーザー
HDR10は、映画や高画質のストリーミング、ゲームなど本格的なHDRコンテンツを楽しみたいユーザーに最適です。一方、HDR400は価格を抑えつつ、ライトなHDR体験を求めるPCユーザーや一般的な作業向けです。コストと使用目的に応じて選ぶのがポイントです。
SDR動画をHDRまでにアップデートできるツール-HitPaw VikPea
SDR映像を手軽にHDR相当の高画質にアップスケールしたい方には、HitPaw VikPea(旧:HitPaw Video Enhancer)の活用がおすすめです。AI技術を活用して、輝度・色彩・ディテールを自動で補正し、鮮やかで立体感のある映像に変換できます。専門的な編集スキルが不要なため、初心者でも簡単にHDR表現に近い高品質な動画を実現可能です。
HitPaw VikPeaを選ぶ理由
- 人工知能を使用してインテリジェントなビデオをより良くします。
- 使いやすく、初心者にも専門家にも適しています。
- アップスケーリング、ノイズ除去、色補正ツールを一度に提供します。
- これにより、ユーザーは初期費用なしで機能を試すことができます。
- ユーザーの質の高い時間を損なうことなく、ビデオをすばやく強化します。
以下では、HitPaw VikPeaを使ってSDR動画をHDRまでにアップデートする方法をご紹介します。
HitPaw VikPeaでSDR動画をHDRまでにアップスケールする方法
ステップ 1.HitPaw VikPeaプログラムを公式Webサイトからインストールすることが最初のステップです。
ステップ 2.アプリケーションをインストールしたら、目的のビデオを選択してドロップするか、「ファイルの選択」オプションを使用してインポートします。MP4、AVI、MOV、MKV、M4Vを含む30以上の入力形式がHitPaw VikPeaと互換性があります。
ステップ 3.この優れたビデオ品質向上ツールには、一般的なノイズ除去モデル、アニメーション モデル、顔モデル、カラー化モデル、色強調モデル、フレーム補間モデル、安定化モデルなど、多数の AI モデルが搭載されています。
ステップ 4.「プレビュー」 をクリックして、アップロード後の動画の処理を開始します。少し時間がかかる場合があります。改善されたビデオを保存するには、問題がなければ、」エクスポート」オプションをクリックします。
まとめ
HDR10とHDR400は、それぞれ異なる視点からHDRに関わる規格であり、理解することでモニター選びや映像体験の質が大きく向上します。
そして、SDR動画をHDRらしい映像にアップデートしたい方には、AI技術を活用したHitPaw VikPeaがおすすめです。操作も簡単で、プロレベルの補正を自動で実現できるため、誰でも手軽に高画質な動画を楽しむことができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. HDR10とHDR400の一番大きな違いは?
A1. HDR10は映像信号側の規格で、動画コンテンツがどう表現されるかを定義するものです。一方、HDR400はディスプレイの性能を示す表示基準で、HDR10などの映像をどの程度再現できるかの目安です。役割の違いが最大のポイントです。
Q2. HDR400対応モニターでHDR10のコンテンツは再生できる?
A2. 基本的には再生可能です。ただし、HDR400はHDR表現の最低ラインにあたるため、HDR10本来のダイナミックレンジや色の豊かさをすべて再現できるとは限りません。高品質なHDR再生を求めるなら上位グレードのモニターも検討しましょう。
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松井祐介
編集長
フリーランスとして5年以上働いています。新しいことや最新の知識を見つけたときは、いつも感動します。人生は無限だと思いますが、私はその無限を知りません。
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